Tebiki株式会社でQAエンジニアとして働いています、黒木です。
5月1日に入社し、はや1か月と半月が経ちました。今日はTebikiのオンボーディングと、オンボーディングの課題図書として読んだ『トヨタの片づけ』について、ご紹介したいと思います。
Tebikiの手厚いオンボーディング
まずはじめに、弊社のオンボーディングについて簡単に説明させてください。
Tebikiではとても手厚いオンボーディング体制が作られています。これは自分が入社後に一番驚いたものです。
Tebikiでは動画マニュアルを作成・管理するためのサービス「tebiki現場教育」を開発・提供していますが、このドッグフーディングも兼ねて、オンボーディングでtebiki現場教育がフル活用されています。
Tebikiは顧客課題の解決を目指す上でも、「マニュアル」に関するナレッジやノウハウをたくさん持っています。それをまるっと自分たちのマニュアル作成に活かしており、tebiki現場教育内には高品質なマニュアル資料を大量に蓄積されています。
更にこれを「コース機能」を使って整理し、新入社員用のオンボーディングプロセスに組み込んでいるわけです。特に「初級オンボーディング」コースは、入社直後の1週間をまるまるかけて行うことが想定されており、同期入社のメンバーと足並みを揃えながらコースを受講します。
入社するまでは、ここまでしっかりとしたオンボーディング体制が整えられているとは思ってもみず、とても驚きました。量も多く大変ではありますが、顧客理解、サービス理解、そして組織全体への理解を最速で深めることができる素晴らしいオンボーディングだと感じました。
課題図書である『トヨタの片づけ』
この入社後オンボーディングには、最終日にかけて課題図書が設定されています。そのうちの1つが『トヨタの片づけ』です。
トヨタは日本の製造業の代表的な企業であり、そこでの実践はトヨタの枠を超え、日本の製造業全体で大いに参考にされています。様々なプラクティスがありますが、中でも『トヨタの片づけ』において紹介されている「5S」は、製造業における基本中の基本となっています。
「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つの頭文字Sを取って作られたこの5Sを学ぶことは、Tebikiメンバーにとって顧客理解を深めるために必須であるとして、『トヨタの片づけ』がオンボーディングの課題図書として設定されており、Tebiki社員全員が読むことになっています。
しかし、この本は「製造業の顧客理解のため」に留まらない、素晴らしい内容が書かれた本でした。
「ムダ」は宝である
5Sのコンセプトは、プロセスにおける「ムダ」を取り除いていくことで効率化を目指す、という至極当たり前のものです。しかし、それを前向きにカイゼンしていくためにはマインドが大事だという話がされています。
例えば書籍の中には「ムダという宝を探せ」といった表現があります。ムダは、それを見つけることでより業務を効率化できるのでお宝である、というわけです。この表現の良い点は、ムダが存在している状態をネガティブに表現していないことにあります。
これも書籍の中で繰り返し書かれていることですが、ムダがある状態をネガティブなものだと表現すると、人はムダを隠すようになります。単に効率が悪い状態を隠すだけであればまだ良いですが、製品に不良が出たことを隠蔽するようになってしまうと、それが市場にひとたび出てしまえば企業価値を大きく損なうような大事件に繋がりかねません。だからこそ「ムダは宝」のような前向きな表現はとても大事なわけです。
すべての社会人に通じるような、あらゆる仕事の基礎・基本が書かれているような読み味です。しかし、QAである自分としては、基礎や基本を超えて、あまりにも自身の業務の本質が語られているように感じました。
「プロセス改善」の本質
QAエンジニアの仕事のひとつに「プロセス改善」と表現されるものがあります。「改善」といえば聞こえはよいですが、そこではどのような作業をすればよいのでしょうか? やや抽象的に響き、経験の浅いQAエンジニアなどは、具体的に何をするものなのかのイメージがつきづらいのではないでしょうか。
特にソフトウェア開発においては、具体的な物を作っているわけではないため、プロセスも課題も抽象的に感じられることが多いです。その点、『トヨタの片づけ』は製造業という具体的なモノを作る業界が前提にあり、「改善とは何か」の具体的なイメージを持つことができます。
特に「ムダ」の概念はあまりにも具体的に例示されています。例えば書籍の中では「よく使う物を取るために、身体を捻る動作を挟まないといけないのはムダである」という風に書かれています。最短最小の動きでものを取れるのが理想であり、手に取りやすい場所に物を配置すべきだということです。
このことは自分にとって大きな気付きになりました。
僕はいつもQAとして、メンバーの「モヤり」を大事にするようにしています。メンバーが働くうえでモヤっとしたことを深堀りすることで、そのネガティブな感情がなぜ起こったのかの背景に、改善点が見つかることがあります。「ムダ」と基本は似ていますが、「モヤり」はとても主観的なものです。そのため、当人たちがモヤりのような違和感を覚えていなかった場合に、そこにメスを入れて改善に繋げることはなかなか難しいなと、しばしば課題に感じていました。
一方で「ムダ」を失くすイメージであれば、例えば「この作業って本当に必要ですか?」「このMTGいりますか?」というように効率化のためのアクションをもっと具体的にイメージできますし、客観的にも指摘しやすいです。
もちろん、一見非効率に見えるものが全て「ムダ」の一言で切り捨てられるものでもありません。その点については、書籍の中では「判断基準をちゃんと持つ」という形でフォローされていました。ムダだから何もかも捨てるのではなく、ちゃんと捨てる捨てないの基準を持とうねと、基準を持つことが大事だよと、そのように書かれているわけです。
これもまた品質の話にダイレクトに繋がってますね。バグだったら何でもかんでも全力で修正するのではなく、基準を作って対応を変えることでスピードを損なわずに品質を担保するのがセオリーです。
さらには、こうした改善のアクションを「やっただけ」に留めず、ちゃんと仕組みとして作りこもう、ということが5Sでいう「しつけ」として書かれています。改善施策も単発でやりっぱなしになることが多いので、それをしっかりと仕組みにした上で運用に乗せて、初めて品質に繋がるため、ここでも重要なことを書いてくれているなと思いました。
イネーブリングQAとして実践に向かう
「ムダを減らす」「基準を作る」「仕組み化する」などが含意された5Sの考え方は、プロセス改善を学ぶための良い教科書だと思いました。
とりわけTebikiのQAエンジニアはイネーブリングを職務としており、基本的には自分でテストを行わず、プロセス改善が主な職務となります。Tebiki QAとして働き始めたばかりのいま、ちょうど欲しいものを学べた感覚です。顧客理解を深めつつ、「プロセス改善とは何か?」という自らの仕事の核心を学ぶことができたため、1度で2度美味しい気持ちでした。
入社から1か月が経ち、開発プロセスの全体像も掴めてきました。これからは『トヨタの片づけ』から学んだコンセプトを実践に移すフェーズです。Tebiki QAが目指すQAエンジニアのあり方を、自分も体現できるように頑張ります。
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