CREが実践するAI活用による業務効率化

はじめに

こんにちは、CRE(Customer Reliability Engineer)担当の森田です。

CREは、カスタマーサポート(CS)とプロダクト開発チーム(PE)の橋渡しとして、技術的な課題の解決や、ユーザー体験の改善を担う役割です。 以前の記事 tebiki CREのはじまりとこれから では、CREチームの立ち上げやその役割について紹介しました。

あれから時間が経ち、現在CREは4名体制で、次のような幅広い業務を担当しています。

  • CSからの技術的な問い合わせ対応(技術窓口としての役割)
  • 障害発生時の初動と調整(インシデントコマンダー)
  • プロダクト改善に向けた再現・調査・要件提供(開発チームとの接続点)

いずれも速度と確実性の両立が求められる業務です。その中でも、“速度”を支えてくれているのが、生成AIの存在です。 調査の初動、ナレッジの検索、説明文の整理など、さまざまな場面でAIツールが「次の一手」を後押ししてくれるようになっています。

本記事では、そんな日々の業務の中で、CREがどのようにAIを活用しているのか、ご紹介します。

CREの業務「技術的なお問い合わせ」への対応

CSからエスカレーションされた以下のような技術的なお問合せに対応するのが、私たちCREの主要業務のひとつです。

  • プロダクト仕様に関する確認
  • 不具合報告の調査・検証
  • 想定外の挙動についての再現確認

これらの対応には、コードリーディングやPRの調査、場合によってはPEへの確認依頼が必要で、時間と労力がかかります。 私は普段コードを書くことはなく、また、読み解くことも簡単ではないです。 それでも、日々の業務で技術的な問い合わせに対応する上で、コードの仕様や動きを理解する必要があります。

課題:時間と認知的負荷

かつては、以下のような流れで対応していました:

  1. 該当機能に関する対応ナレッジやコードを手作業で探索
  2. 過去のPRやコメントを遡って調査
  3. 必要に応じて開発チームへ質問

このプロセスは、毎回個人の記憶を頼りに人力で照合する必要があり、認知的な負担が積み重なるものでした。

解決策:AIツールの導入

業務効率化を図る中で、私たちは試験的にAIツールを次のように使い分けています。 それぞれの強みを活かすことで、調査精度やスピードの向上だけでなく、心理的な負荷の軽減にもつながっています。

GitHub Copilot

用途:コード仕様・背景の調査
  • 指定したコードに関連する仕様を補完表示し、機能の目的や使われ方を把握するのに役立ちます。
  • 特に便利なのは、「いつ・誰が・どういう意図で実装したか」という履歴(=過去のPR単位の変更)まで参照できる点です。
  • 「なぜこういう挙動になっているのか?」という背景まで確認できるため、仕様だけでなく経緯の理解にも有効です。

Cursor

用途:文脈に即した仕様の確認
  • 顧客の質問内容に沿って、より自然な会話形式で仕様を確認したい際に利用しています。
  • Copilotが補完や履歴取得に強いのに対し、Cursorは調査対象のコードを開いたまま、エディタ上で質問ができるのが特徴です。

NotebookLM

用途:ドキュメントベースの問い合わせ対応補助
  • よくある質問や対応テンプレートなど、社内ナレッジをソースとして登録し、検索性の高い形で活用しています。
  • 過去の類似対応をすぐに引き出せるため、「似たような質問にどう回答していたか」の確認にとても役立ちます。
  • ソースとして読み込ませた情報からのみ回答してくれるため、誤回答のリスクが低いです。
  • 個別の事象対応だけでなく、CSチームへの回答共有や一次調査用のナレッジとしても活用予定です。

NotebookLMの活用例

ChatGPT

用途:文章作成支援・説明文の調整
  • 技術的な対応内容を、CSチームやお客様に伝える際の説明文の草案作成に活用しています。
  • 特にCS担当者向けに、専門用語を避けて噛み砕いた表現に変換するときに便利です。
  • また、社内向けの整理文書・ヘルプ作成時などにも利用しています。

これらのツールを活用することで、特にコードの意図や実装経緯を調べるハードルが大きく下がりました。

以前は「これはエンジニアに聞かないと無理かも」と感じていた場面でも、ある程度自分で調査の仮説が立てられるようになったのは、大きな前進です。

ただし、誤回答のリスクがあるため、AIの出力をそのまま鵜呑みにすることはありません。 特にお客様へのご案内に関わる場面では、必要に応じて開発チームへの確認や、別の手段での裏取りを行いながら活用しています。

また、これらのAIツールの活用においては、顧客情報や個人情報などの機微データは読み込ませていません。 社内のコードベースやマニュアル、FAQなどに限って活用し、外部への情報流出リスクがないよう運用しています。

成果:対応スピードとストレスの改善

まだツールの導入から間もない状況ですが、以下の効果を実感しています。

  • コード調査の時間短縮
  • PEへの依頼が減り、CRE内で完結できる対応の増加
  • テンプレートや過去事例の検索が高速化
  • 調査時のストレスや心理的負担が軽減

さいごに

AIはあくまで“補助ツール”であり、CREの本質は「お客様の体験をより良くすること」だと考えています。

そのために、CSと開発チームをつなぎ、技術的な課題を解決することが私たちの役割です。 今後もAIや自動化を活用しながら、より本質的な業務に集中できる環境を整えていきたいと思います。

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