※この記事は 2024年10月22日に Medium で公開されたものを、ブログ移行に伴い再掲載したものです。内容は当時のままですので、一部情報が古くなっている可能性があります。
Tebiki株式会社でQAエンジニアとCREを担当している中西です。CREを導入し、半年以上が経過しました。 CREとして活動している私は、ユーザーからの問い合わせの早期解決という点で、開発チームやカスタマーサクセスチームに貢献できている感覚を持っています。私の感覚にギャップがあるかどうか、CREをもっと良くするために必要なことは何かを知るために、CREと協力することが多い職種の方々にインタビューを実施しました。
インタビューに協力して頂いた方々はこちらの方々です。
日笠 陽仁/テックリード
テックリードとして、設計や実装の品質を支援。現在は、技術的負債の解消に先陣をきって取り組み中。調査の難易度が高い、もしくは緊急性が高い問い合わせ発生時には、CREと一緒に調査も行う。
中村 翔平/チームリーダー
スクラムチームに足りない能力を見極めて補完できるようにプロダクトオーナー、プロダクトデザイナー、QAエンジニア、テックリード、CREに働きかけ、チーム力を上げる様々な活動を実施。スクラムチームとCREの連携強化を支援している。
荒木 淳吾/プロダクトエンジニア
ビジネス価値のあるプロダクト作りを担い、仕様策定~リリースまでフルサイクルに活動している。ユーザーからの問い合わせが不具合によるものだった場合、その不具合を修正して、利用時の品質を維持、改善することにも貢献している。
中屋 杏野/プロダクトマネージャー
開発チームに顧客インサイトを共有したり、プロダクト開発の優先順位を決めるための情報を収集し、優先順位をステークホルダーと協力して決めたり、プロダクトの方向性をステークホルダーに示したりすることに従事している。
脇村 祐輔/カスタマーサクセス
顧客のサクセスに貢献するオールラウンドプレイヤー。顧客の一次窓口として、操作説明会の実施や導入プロジェクトの推進を行っている。また、顧客と開発チームのコミュニケーションハブとして、不具合対応状況の報告や改善要望の収集も行っている。
他職種から見えるCREの活動や成果
ー CREの活動や成果について、どのように感じていますか?
日笠:スクラムチームへの差し込みを減らす点において、とても貢献されているように見えています。CREがなかったら、私が全部やっていそうなので、テックリードがやるべき作業(技術的負債の解消やプロダクトエンジニアが担当している設計や実装の壁打ち)に集中できてうれしいです。
中村:日笠さんと同じ変化を感じています。今までは、スクラムチームが問い合わせに対処しており、1スプリントにつき、問い合わせや不具合改修に対して、10時間を確保していました。CREができてから、その時間を新機能開発の時間に充てられるようになっています。また、CREとカスタマーサポートチームが定期的にコミュニケーションする機会が設けられ、問い合わせコストを削減するための施策について活発に議論され、改善が進んでいる印象を持っています。加えて、CREが問い合わせの解決支援をしていることで、問い合わせの発生傾向が開発チームに連携されやすくなっています。
荒木:私もCSからエスカレーションされた問い合わせについて、実装内容を確認する必要がある問い合わせのみがプロダクトエンジニアにエスカレーションされているため、以前よりも機能開発に集中できている実感があります。また、インシデント対応プロセスが整備され、エンジニアが何をすべきか明らかになっており、インシデント対応における意思決定がスムーズになった印象です。
中屋:問い合わせの分析やプロセス改善のオーナーシップが明らかになったことがポジティブな成果だと考えています。これらのオーナーシップが曖昧でしたが、現在は、開発チームにエスカレーションされた問い合わせの分析やプロセス改善はCREがオーナーシップを持ち、問い合わせそのものを減らすための改善はカスタマーサポートチームがオーナーシップを持つことが明らかになりました。カスタマーサポートチームがオーナーシップを発揮している領域にCREが積極的に関与することで、もっと良くなると思います。
脇村:カスタマーサクセスチームの視点で言うと、根本解決に至らなくても、マニュアル作成業務が止まらないように、代替案の提示を開発チームから早く提示してくれており、お客様が困っている状況を早期に解決するためのアクションが以前よりも早く為されているように思います。ユーザーがマニュアルを作りたいタイミングで作れることに繋がっていて、とてもありがたいです。
協力関係をより強固にしていくためには…
ー カスタマーサクセスチームやプロダクトエンジニアとの協力関係をより良くするためには何が必要だと思いますか?
荒木:プロダクトエンジニア全員がそう思っているとは限らないですが、 問い合わせ起因で起票した不具合のうち、プロダクトエンジニアにエスカレーションしたらすぐに修正できるかもしれないものがいくつかあるのではないかと思っています。スプリント作業の空き時間で対応することになりますが、不具合が改修されれば、ユーザーも嬉しいと思います。
脇村:現在は、開発チームの一員としての活動と認識されていて、CREの活動が、まだカスタマーサクセスチームに認知されていないと思っています。CREの認知が上がると、CREの活動(問い合わせ対応やインシデント対応)への要望がカスタマーサクセスチームからあげやすくなります。
CREの今後に期待していること
ー それぞれの職種の視点で、CREの活動に期待していることを教えてください。
日笠:問い合わせ自体を減らすために必要な活動がCRE主体でできることを期待しています。例えば、問い合わせ起因によるプロダクトの機能改善などです。
中村:日笠さんと同じように、もっとCREを拡充し、既存機能をよりよくするチームになっていくことを期待しています。一方で、CREとPOがもっと会話してほしいとも思っています。既存機能の改修はスクラムチームの責務でもあり、CREと協力して既存機能を良くしていくことが理想だと考えています。そのため、スクラムチームで既存機能の改修を行うためにも、改善要望や問い合わせの情報共有をPOとCREで密に行い、スクラムチームに優先順位の根拠を明確に提示できるようになることを期待しています。
中屋:私も中村さんと同意見です。問い合わせや機能要望に対して、スクラムチームやテックリードと協働して、解決に向かうようにする仕組み作りを期待しています。そのためには、POやプロダクトエンジニア、テックリードと情報共有が必要だと考えています。共有すべき情報の設計や連携方法などの仕組み化をCREには期待しています。
脇村:カスタマーサクセスチームとしては、プロアクティブな活動を期待しています。例えば、発生している問題を、カスタマーサクセスチームメンバーやユーザーが気づく前に、CREがいち早く伝えられるようになると、とても嬉しいです。開発チームでは、ユーザーのアクセスログの収集やエラー監視をしていると伺っています。それらの情報を起点として、ユーザーにお知らせできれば、お客様との関係構築にもポジティブです。
まとめ
インタビューを通じて、CREが問い合わせの早期解決に大きく貢献していることは、他職種との間でも共通した認識がありました。しかし、一方で課題として浮かび上がったのは、他職種との情報連携です。
CREが扱う情報は多岐にわたるため、何の情報をどこで入手し、誰にいつ共有するかといった「情報連携プロセスの設計」が非常に重要だと感じました。他職種にどの情報を共有すべきかを明確にし、効率的な連携プロセスを確立することが、CREの次のステップになると感じました。
最後に、インタビューにご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。