Tebiki CREのはじまりとこれから

※この記事は 2024年07月29日に Medium で公開されたものを、ブログ移行に伴い再掲載したものです。内容は当時のままですので、一部情報が古くなっている可能性があります。

Tebiki株式会社でQAエンジニアを担当している中西です。最近CREの活動も兼務しています。

QAエンジニアである私は、プロダクト開発のプロセス改善の一つとしてTebiki株式会社でCREの職種の導入を提案し、2024年1月から活動を開始しました。

今回の記事では、Tebiki社でCREの職種を立ち上げた経緯と、業務内容、そして今後取り組みたいことを紹介します。この記事を読んで、我々のCREに興味を持っていただければ幸いです。

CRE 立ち上げの背景

CRE(Customer Reliability Engineering / Engineer)とは

ご存知の方も多いかと思いますが、CRE(Customer Reliability Engineering)という職種は、2016年にGoogleGoogle Cloud Platform(パブリッククラウド)事業で発表した新しい専門職です。(参考:Google の新しい専門職 : CRE が必要な理由) 現在、多くのBtoC、BtoB企業で導入されている職種です。日本で、どのようにCREが広まってきたか知りたい方は、はてな株式会社のTechblogにまとめられていますので、こちらをお読みいただくと、CREについてより理解できると思います。

抱えていた課題

それでは本題に戻ります。開発チームが抱えていた以下の課題を解決するために、CREという職種を導入しました。

・問い合わせ対応によって、プロダクト開発が中断し、スプリントゴールに集中できない Tebiki社ではスクラム開発を採用しており、スクラムチームの開発エンジニアは、通常スプリントゴール達成のための作業に集中しています。 カスタマーサポートチームで回答が難しいユーザーからの問い合わせが発生すると、スクラムチームの開発エンジニアはスプリントの作業を一時中断し、問い合わせに回答するために、ユーザーログの追跡や実装内容の確認をしなければなりませんでした。 このようなコンテキストスイッチの発生により、スクラムチームの開発エンジニアが開発に集中できない状況が発生していました。

・ユーザー自身で問題を解決できるような改善に取り組めない ユーザー数が増加するにつれて、カスタマーサポートチームによせられる問い合わせも多くなってきました。 ユーザーが困ったとき、ヘルプを参照するなどしてユーザー自身で問題を解決することができれば、問い合わせ数自体が減りカスタマーサポートチームの負担軽減も図れますが、そのような問い合わせ対応フロー全体の改善に取り組めるような体制がありませんでした。ユーザー自身で問い合わせを解決することができれば、カスタマーサポートチームの負担が軽減されたり、ユーザーにとっては問題解決までの時間を短縮する効果を得られると考えています。

・問い合わせに対して、根本解決を行うことができる時間や体制が確保できない 問い合わせ対応において、ユーザーが困っている事態をできるだけ早く解消するために、回避策を案内することがよくあります。発生原因の特定が難しい、修正の規模が大きい場合など、根本解決に時間を要する場合です。 ユーザーに回避策を案内することはできていますが、根本解決できていないため、ユーザーに不便さを強いている状況です。これらの問題に対処するための仕組み作りや体制の構築が必要でした。

Tebiki CRE の責務・役割

このような背景があり、Tebiki社にCREを導入しました。ここからCREのミッションと具体的な業務内容を紹介します。

ミッション

CREの責務や具体的な業務の拠り所とするために、以下のミッションを策定しました。

責務

Tebiki社におけるCREの責務は以下の3つであると定義しました。

業務内容

上記の責務をさらに具体的した業務内容がこちらです。

特徴は、ユーザーの業務が中断するような不具合が発生した場合、インシデントコマンダーとして関係各所への情報伝達や協力依頼といったインシデント解消までの旗振りを業務の一つとして定義しています。

また、プロダクトのUI改善や問い合わせ起因の軽微な不具合修正もCREの業務としています。

CREが不具合を修正し過ぎると、CREが不具合修正のための職種になる懸念があります。しかし、Tebiki社では、修正難易度や影響範囲などの状況によって、スクラムチームが不具合修正するというルールを定めており、スクラムチームの開発エンジニアやCREという役割にしばられず、柔軟に対応できるようにしています。

困っている顧客が多い不具合や要望については、職種に関わらず、自らの判断で修正しても良いという考えが根本にあります。言い換えると、Tebiki社のCREはスクラムチームの開発エンジニアよりも裁量を持って、ユーザーの課題解決をすることができると言えます。

体制

現在の体制はQAエンジニア1名、CRE1名の2名体制です。QAエンジニアはCREの職種も兼務しています。 また、信頼性という品質特性を改善する目的をCREが持っているため、QAチーム配下に所属する組織構造です。

Tebiki CRE の課題とこれから

まだまだ体制が整っていないため、カスタマーサポートチームからの問い合わせ対応やヘルプ記事の拡充支援が中心です。以下のようなCRE自身がコード改修したり、スクラムチームの開発エンジニアにコード改修をするための情報を提供する作業までを担える組織を目指しています。

・ユーザーログを分析し、UIを改善する ・ユーザーログの分析結果をスクラムチームの開発エンジニアにフィードバックし、開発の優先順位を見直す情報を提供する ・根本解決が必要な問題の調査、解決するのための支援

また、AIを活用したカスタマーサクセス業務の効率化も検討しています。

上記に挙げたことだけが全てではありません。プロダクトを使っていくうえで発生する顧客の不満・不安は様々で、それらを解消する戦術・戦略を考えて実行することがTebiki CREとしてやっていきたいことです。

私たちは仲間を募集しています!

Tebiki社では、CREを募集しています。ビジネスチーム(カスタマーサポートチーム)と密に連携して仕事をしたい、裁量を持ってユーザーの課題解決をすることで幅広いスキルを身につけたい方は、ぜひカジュアルにお話ししましょう!

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参考

CREの導入、本記事の作成にあたり、他社でのCRE立ち上げ事例を参考にさせていただきました。